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ロンドン生活日記(38)1988〜1992
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暖炉
30年ほど前(注・今からは40年)にスモッグの原因になるという理由で、暖炉で石炭や薪を炊く事が禁止になりました。
そのお陰でロンドン名物とされていた霧もすっかり姿を消したのです。
今では殆どの家にセントラルヒーティングがあるので暖炉など必要で無くなってしまったのでしょう。
私達の住んでいる家にも最初から付いていません。

でも古い建物には使われなくなった煙突がそのまま残っています。
また古い家に住んでいる友達のところに遊びに行くと、居間には暖炉がついていて、夏の間はドライフラワーなど飾ってあったのが、寒くなると赤々と炎が見えるのです。
さては内緒で使っているのかと思い近づくと「それはイミテーションの石炭よ。本当はガスストーブなの」と言われ驚きました。ちゃんと炎がゆれて見えるのです。
別の家では電気ストーブで、これも薪が赤々と燃えている様に見えました。

石炭や薪が使えなくなっても、イギリス人にとって暖炉は大切なものなのでしょう。
一度壊して壁にしてしまったところに、インテリアとして暖炉を作る人もいます。
また、古い家に似合うようにと、解体したお城から持ってきたという暖炉を、墓石やで見つけ買ってきたという人もいました。
暖炉の上には家族の写真や置物が沢山飾ってあり、小物ひとつ取っても良く吟味されています。
イギリス人のインテリアにかける情熱は大変なものがあり、インテリアデザインは一部の人のものではないのです。
日本でも昔は囲炉裏と言うイギリス人にとって暖炉に当たるものが何処の家にもあったのが、洋風化が進むにつれ殆ど見かけなくなりました。
でもあの懐かしい囲炉裏をなんとか形を変え、現代に復活できないものかと思います。
私達の生活には体を暖めるといった、実用的なものではなく、こころを暖めるようなものが必要ではないかと、暖炉を見ながら考えました。