第3課

【3】公害問題こうがいもんだい

産業の発展にともなって人々の生命・健康・生活環境をおかして害を与える公害問題が発生した。公害とは事業活動その他の人の活動で生ずる相当範囲(そうとうはんい)にわたる大気の汚染(おせん)、水質汚濁(おだく)、土の汚れ、騒音(そうおん)、振動(しんどう)、地盤(じばん)の沈下(ちんか)、悪臭(あくしゅう)によって人の健康または生活に係る被害が生ずることをいう。公害は自然災害ではない。日本の公害の原点は足尾銅山(あしおどうざん)鉱毒事件である。1880年から数十年にわたり、渡良瀬川(わたらせがわ)の魚類や流域の農作物に大被害を与えた。1970年代の銅山廃止(はいし)まで公害は続いた。戦後は重化学工業化が急速にすすんだ高度成長期に各地で産業公害が多発し、公害ははじめて国民共通の関心を呼ぶ社会問題になった。60年代の産業公害の典型例が4大公害訴訟(そしょう)である。4大公害病とは下記の4つをいう。

*水俣病(みなまたびょう):
熊本県水俣市に1953年から1960年にかけて発生した公害病。水俣湾の魚や会を食べていた漁民や周辺の人が病気にかかり、手足や口がしびれたりする症状があり死亡者もでた。付近の工場の廃液(はいえき)中に含まれる有機水銀(ゆうきすいぎん)の一種であるメチル水銀による汚染が原因であることが分かった。
*新潟水俣病(にいがたみなまたびょう):
新潟県阿賀野川(あがのがわ)流域で1964年ごろからおきた公害病。熊本の水俣病と同じ水銀(すいぎん)による公害病なので、第2水俣病とよばれている。
*イタイイタイ病:
富山県神通川(とやまけんじんづうがわ)流域で第二次世界大戦のころから発生した公害病。子供を産んだことのある女性に多く症状が現れ、手足の骨がもろくなり、激しい痛みが伴うのでイタイイタイ病という名前がつけられた。カドミウムという鉱物(こうぶつ)が原因であることがわかった。
*四日市ぜんそく(よっかいちぜんそく):
三重県四日市市(よっかいちし)に1960年頃から発生した公害病。多くの人が気管支炎(きかんしえん)やぜんぞくにかかり、死者も出た。石油化学工場から出る煤煙(ばいえん)中に含まれている亜硫酸(ありゅうさん)ガスによる空気の汚れが原因であった。同様のぜんそくは、川崎市(かわさきし)や尼崎市(あまがさきし)などいくつかの工業都市でも発生している。
上記の4つの裁判を「4大公害裁判」と呼ぶ。1973年3月には熊本水俣病についての判決があり、これで4大公害裁判はすべて患者側の訴えが認められた。環境保全行政(かんきょうほぜんぎょうせい)の総合調整と環境問題の解決にあたるため、1971年環境庁(かんきょうちょう)が設立された。1967年は公害対策基本法1、1993年には環境基本法2が制定された。また、地方公共(ちほうこうきょう)団体でも公害対策に対する意識が高まっていった。

[問1] 大気汚染による公害病はどれですか。

(1)水俣病
(2)新潟水俣病
(3)イタイイタイ病
(4)四日市ぜんそく

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